何も言えずに俯いていると、 ふわりと肩に温もりを感じた。 それは、楓が川に飛び込む前に 河原に脱ぎ捨てたであろう コートだった。 「いいよ。美桜の気がすむまで 俺もここに居るから」 そう言ってまた笑った。 「……楓も寒いでしょ?」 「まぁね、でも嫌いじゃないんだ。 たまには……こーゆーのも」