けど、私は笑ってみせた。



「なにって、見て分かるじゃない」




優しい口調で、けれど挑発的に
目を合わせない翔琉くんを
じっと見つめた。


どうやら目が合わないのは、
翔琉くんが床に置いたドナーカードを
ずっと見ているからだ。



「こんなことして……楓が喜ぶかよ!」




言われると、思った。



「喜ばないよ、楓は優しいから
きっと私の為にたくさん泣く」



「だったら何で……!!」




「そうしたらきっと楓は私を忘れない。
楓が私の命を助けてくれた時のこと
私がずっと忘れてない様にね」