「それって…………どうゆう……」


尋ね返す頃には、
もう楓は力尽きたように
眠ってしまっていた。




─────あ、そうだ美桜さんは………


突然に駆け出して、随分経った。
何処へ向かったんだろう。


楓がこんな状態だから、
多分病院の外には出てないはずだ。



──だとしたら、何処に………?




それに、「俺は美桜にはなれない」って
どうゆう………




なんだかものすごくいやな予感がした。



ふと、ベッドの奥のカーテンが
半開きになっていることに気が付いた。

楓を潰さないように身体を伸ばして
カーテンを閉めようとした、
その時だった。

眼に飛び込んできた光景に
思わず息を呑んだ。


屋上に佇む、女の子。


遠くてよく見えないが、
もうフェンスを越えようとしている。




もし、美桜さんだったら………
………………いや、美桜さんじゃなくても……!





病院だってことも忘れて、
廊下を走り抜け、階段を駆けあがる。




──間に合え……………!




息を切らして、屋上の扉を
勢いよく開いた。




驚いたように、彼女は振り返る。