小窓から小さな夕日がさした
病院の廊下には、
集中治療室の前に
長椅子が2つ、連なっている。


そこに座った翔琉くんと
ユキは、お互いに間に
一人ぶんくらいの隙間をつくっていた。



息を切らして足を止めた。


扉の上のランプが、
赤く光っている。


この扉の向こう、
楓が闘っている、証拠。







「────さっきまで
あんなに元気だったんだぜ」




翔琉くんがぼそりと呟いた。


「へんな冗談言って笑い合って……
"絶対負けない"って………
言ってたのに……よ………!」


翔琉くんの横顔に
涙が零れた。