「───俺らが初めて会った時のこと
覚えてる?」


───唐突だな。



「忘れねぇよ、たった一年前だぜ?」




「二年。だったら………?」




「んあ?」




楓の訊きたいことが、
俺にはイマイチわからない。




「三年。四年。もっと過ぎたら…………
翔琉は俺を忘れるのか?」





「それって……どうゆー………………」




「深い意味はないよ。ただ、
俺が居たことを忘れないで欲しいんだ」




………………………なんだよ、それ



まるで最後みたいな、セリフ。

掛ける言葉もなく
俯いていると、
クスクスと笑い声が聞こえた。




「────なんて
言うわけないだろ?」





─────────は!?






「おまっ…!」



「だって翔琉バカだから記憶力ないし
目に映るもので精一杯だし
やっぱり近くに居ないと!」




あははっと楽しそうに笑う楓。


久しぶりだ。


だからちょっと懐かしい。
この感覚。

なんだか俺も一緒に笑ってしまう。

バカにされてんのに
めちゃくちゃ嬉しくて

結局バカなんだわ、俺。




「負けねーから俺」




自信に満ち溢れた楓の拳に
拳を強くぶつける。




「ったりめぇだよ」




これは、男同士の約束。


だろ?楓。





俺はずっと見ててやっから、
お前は絶対諦めたりすんなよ?





いつかまた、二人で学校行こうぜ!






俺も楓も、希望に満ちいていた。