その一言に、
冷たい雫が頬を横切る。



「……もう………充分……だよ……」






一言、一言
嗚咽のように放つ君の言葉は
いつものように私を
優しく包み込んではくれない。

ただ、ひっかくように
傷をつけてくれる。




「なんで…………なんで
そんなこと言うの………?」





私をまっすぐに見詰めるその瞳は、
本当は私を透かして
もっと先を見詰めている。


"向こう側"を見るみたいに。






「運命なんか歪ませてやるって………
約束したじゃない…………!!」






未来なんか、簡単に変えてやるって
約束したじゃない…………。




絶望に曇る、あの白い部屋で
楓がそう笑うから
私はここまで前を向いて来れた。



なのになんで…………………
楓が諦めちゃうの?









「運命……なんか…………
とっくに………歪んでたろ」