「─────楓っ………それは………」




もう、何を言っても無駄だ。



「ふざけんなよ………………
美桜は死のうとしてたんだぞ……」




ハッとしたように青ざめるお母さん。



ふざけんな。



お前は美桜の名前に、
喜怒哀楽する資格なんてない。





「────俺を捨てれば良かっただろ……」






美桜にあんな思いをさせるのなら、
俺なんて愛されなければよかった。




どうせ死ぬのなら、
別に愛されなければよかった。









「もうお前の顔なんか見たくねぇよ」









感情に任せて、俺は病室を飛び出した。

背後に焦るお母さんの声がする。

だけど、聞こえない。


聞きたくない。











お前なんかもう、
母親でもなんでもない。