『俺、大人になったら
美桜みたいな女の子が欲しい』



美桜がサンフラワーの香水を
つけてきてくれた日。
嬉しくなった俺は
変なことを言ってしまった。


けど、美桜は当たり前のように
頷いてくれた。

だれかに愛されるのは、
こんなに嬉しいんだと改めて思ったんだ。







その翌日、なんだか俺は
また調子が良くなくって
熱を出してしまった。

美桜がお見舞いに
来るであろう時間までに
回復できないかな、と思いながら、
ベッドに寝転んでいた。


すると、やってきたのは
お母さんだった。



「楓、起きてた?」


その優しい声に、
布団から顔を出して頷く。


すると、俺の様子に気付いたのか
お母さんは驚いたように
駆け寄ってくる。


「大丈夫!?
楓?熱があるの?先生呼ぶ!?」


ハイ。来ました。

お母さんの過剰心配症は
今日も絶好調です。


「大丈夫だよ、そんなにじゃないし。
てか、呼んだってしかたないじゃん?
風邪じゃないんだから………」



「そっか、そうよね………」



俺は、"大丈夫"の証に
上半身を起こしていることにした。