しばらくして、私達は
病室に二人きりになった。



一週間ぶりの楓の寝顔。


疲れきったような表情。



───頑張りすぎだよ、楓。





「ん……………」

楓は重たい瞼を
ゆっくり開いた。



「美桜…………まだ居たの?
……そんなに俺が…恋しいの?」



途切れ途切れだけど、
そう茶化して
私に笑顔を見せた楓。

私は、その熱で温かすぎる
手のひらを握る。


「そうだよ、悪い?」


また、楓は笑ったけれど
すぐにその笑顔は曇ってしまった。

私の瞳をまっすぐと見詰め、
手のひらを頬に触れた。




「美桜………頑張れなくて…
ごめんな………」



震える声。





「驚かせてごめんな………。
俺、結構自信あったのに……」





その声に反応するように、
私の中で、なにかがパチンと弾けた。




なに………言ってんの……?




「ばか……一番大切なのは楓だよ?
私に悪いとかいいから………
無理なんかしないでよ……!!」


最後は…叫びだった。

楓は、少しだけ驚いたように
目を丸くした。