「それに、どうせ行くなら千花さんも一緒がいいから」


「盛り下げちゃうだけだし」


「盛り上げる人だけが必要じゃないでしょ」と言うと、有無を言わせないみたいに、私にキスをした。


「千花さんが楽しんでくれるように、俺が盛り上げますから」


「そんなことしたら、バレちゃうでしょうが」


「バレちゃうようなことしませんよ。なに考えてたんですか?」


「しつこく話しかけてくる広重」


「なにそれ」と、色気ひとつない発言のせいか、少しがっかりされた気がした。


「ていうか、みんなで行くより、2人で行きたい」


そう言うと、すごく嬉しそうな顔をした。


「気が楽だからってことよ」と、付け加える。


「じゃあ、そのときは水着解禁で。いや、でも誰にも見せたくないから、やっぱり……」と、私の言葉を受け流しぶつぶつ呟きだす。