指先になにか触れてる。


うっすら目を開けると、私の隣で眠っていたはずの広重が起きていた。


腹ばいになったまま、私の指先に触れている。


それが、くすぐったくて。


それなのに。まるで、目の前にパソコンでもありそうな、仕様書とでも向き合っていそうな、真剣な横顔。


「寝れないの?」


声をかけると、驚いてから、はにかんだ。


「起こしちゃいました?」


「……ううん。どうしたの?」


「ん。なんか、綺麗な手だと思って」


「なに言って……」


恥ずかしくて、顔を背けようとした。だけど、それよりも先に、広重が私の頬に頬をくっつける。


何度も頬をすりあわせる。


「千花さん。可愛すぎます」


そう言うけど、餌を欲しがる猫みたいで、広重のほうが可愛いよ。


わかってない。