「そろそろ戻ろっか?」と、私を抱き締めたままの広重に言った。 首を縦にも横にも振ることなく見つめる。 「いや。それにしても……」 「え?」 「千花さんの浴衣姿、やばい」 「はっ?」 「これこそ、封印したいです」 「なに言ってるの。ばか」 「千花さん、今度2人きりで温泉ね」 「温泉?行ってあげてもいいけど?」 「あ。その前に花火大会、行きましょう」 「花火大会?」 「うん。とりあえず、浴衣着てほしい」 「や。ちょっと、広重……やっ……」 そう言って、私の胸元に小さな印をつけた。