強引な彼との社内恋愛事情*2


それから、「千花さん。ごめんなさい」と囁くような声で言う。


「……何が?」


「俺さ、千花さんの全部。忘れられないことも忘れられないまま受け止めるって言ったのに。余裕なくて、怒って。やっぱり子供なんですかね」


それは、広重が私に気持ちを打ち明けてくれたときに、伝えてくれた言葉だ。


「……覚えてたの?」


「うん。田原さんのことだって、好きでもいいからって思ってたのに。付き合えたらどんどん欲張りになってた。俺のことしか見て欲しくないって。そればっかだった」


「私だって」


私だって、同じだ。


「ごめんね」と、また言った。


「私も……ごめん」


「ただ俺は、千花さんが誰かに嫌われても味方です。ていうか、みんなに嫌われてしまえって、たまに思います」


「なにそれ。ひっど……」と笑った。


それなのに、広重は真面目な顔のまま。言葉を紡ぐようだった。しばらく口を閉ざすから。