「なんか、そんなこと考え出したら、キリがなくて。私、広重より年上なのに恋人なんて広重の3分の1の人数もいないだろうし、広重みたいに誰にでも好かれるような人間じゃないし、暗いし。考え出したらキリがなくなって……」
「ばかだな」
笑った。
「え?」
「俺から見たら、千花さんのほうが高嶺の花だよ」
「んなわけない。地味だし。モテないし。ちやほやされないし。鬼呼ばわりだし。いいとこなんかひとつもない」
「だから、わかってない」
「わかるわよ。自分の悪いとこなんて自分がいちばんよくわかってる」
「千花さん」
「なに?」
顔をあげたら、広重とちゃんと目があった。



