強引な彼との社内恋愛事情*2


案の定、「ひとりで水族館?」ときょとんとした顔で訊きかえされた。


「なんでもない」


「千花さん」


「なんでもないの」


「じゃあ、なんでそんな顔するの?」と、街頭の下、哀しそうな顔の広重がよく見えた。


なんで広重がそんな顔をするんだって、逆に言いたくなった。


「広重にはわからないよ」


「えっ?」


「私の気持ちも、村上くんの気持ちもわからないよ」


「なに言ってんですか?なんで村上がでてくるんですか?」


「だって……広重みたいな人にはわからないじゃない」


「どういうこと?なにが?」


「広重みたいに簡単に人を誘えたり、番号聞けちゃうような人には、理解出来ないの」


「なにそれ?」


私が男だったら、たぶん、水谷さんに番号なんて聞けないだろうし。


夜の散歩に連れ出すこともできないだろう。


広重は、そんなこと簡単に出来るんだ。


断られるとか、恐いとか。そんなこと、きっと考えない。簡単に出来るんだ。