「俺は、千花さんの嫌なことをしたくないと思う。意思はありますよ」
「でも言ったって出来ないことだってあるでしょ?」
「出来ないこと?」
「例えば、他の女の子と話さないとか」
「あー……」と、眉根を寄せた。
たぶん、言われたくないことかもしれない。
いまどきの女子高生だって言わないかもしれない。いい大人が束縛しようとしてるみたいだ。それに無理がある。
男と女しかいない世の中で、関わらないなんて。
というか、言いたいことはそこじゃない。なんで遠回しにしか言えないんだろう。
そっか、いつだって、察してほしいだけなんだ。
「例えば、だよ」ともう一度、言った。
私を不安にさせないで、って広重に言ったって不安になるのは自信がないからだ。どうしようもない。
だから今度は、「さっきの例え話は忘れて」と言った。
「ただね。私が赦せないのは」
「赦せないのは?」
「私に谷くんと話してヤキモチ妬いたとか言うくせに、広重が他の女の子と仲良くしたりしてることだよ」
言い終わって、ドキドキした。顔を見るのが恐かった。子供だって、思われたかもしれない。



