「みたいっすねー。でもいつもあんな感じで未だに携帯番号すら訊きだせないんですよ。あいつ。今日はよく誘ったな。びっくり」
笑うけど、少し上から目線にもとれるその口ぶりに私はまた不安になった。
「……広重は水谷さんの番号知ってるの?」
「えっ?まあ。知ってますけど。あ。でもだいぶ前に訊いたんですよ。本当、入社当時くらい」
「メールとかしてるんだ?」
「そんなにしてませんよ」と言うから、少しはしてるんだって思った。
「どんなメールしてるんだか」と、つい強い口調になる。
「どんなって、たわいもないですよ。それより」と、腰を屈めて、私に顔を近づけた。
あ、キスする気だって、私でもわかって、「嫌だ」と思い切り顔を背けた。



