強引な彼との社内恋愛事情*2


それよりも。広重に抱きしめられる腕の温度が、夏の夜には暑くて。


暑すぎるほどで。


そればかり意識してしまって、息も身動きも上手く出来そうにない程、違うドキドキに縛られていた。


息を潜めていると、暗闇の向こうから、「で。めぐちゃんはどういう人がタイプなの?」と、声がしてぼんやりとした人影が目の前を横切っていく。


「タイプ?んー。一途な人かな?」


「一途な人?彼女がめぐちゃんだったら浮気しないでしょ?」


「あはははははー」と笑う、水谷さんと村上くんだった。


「なんで笑うの?俺、本気で言ってるのに」


「あ。ごめん。面白かったから」


こんな時間にこんなところを散歩してるってことは、2人は付き合っているということ?


そう思ったけど、すぐにそれは違うってわかった。


「めぐちゃんが彼女で、俺が彼氏だったら絶対、浮気しないのにな」


「そうなんだ。じゃあ、村上くんの彼女は幸せなんだね」


「いや。えっと、そうじゃなくてさ」


しどろもどろになると、村上くんは言葉が選べなかったのか、黙ってしまった。


だんだんと足音が遠のいて、声も聞こえなくなった。