強引な彼との社内恋愛事情*2




「結構、広いお部屋ですね」


バスが温泉街に着くと、硫黄の匂いが鼻についた。


宿泊先は渓流沿いに建つ旅館。なかなか眺めは良かった。橋がかかっていて、どうやら向こう側の温泉街にも渡れるらしい。


「ちょっと散歩に行きたいね」


「向こう行けるんじゃん」


同じ部屋の女の子達も楽しそうに窓から外の景色を見てはしゃぐ。


「外、行こっか?」と誰かが言ってから、「遠山さんはどうしますか?」と訊かれたから、首を横に振った。


メールを問い合わせしても、返事はまだこなくて。


ひとりになったというのに、落ち着けなかった。


「ばか」


今、なにしてるんだろう。


散歩に行ったりしてるのかな。


近いのに、返事がないだけで遠い。