会場は外だった。
大きなプールを目の前に、ぽつぽつと席に人が座っていた。
家族連れも、ちらほら見える。
「いちばん前行くか?」
「いちばん前は、水が、かかりやすいのでは?」
「あ、そっか。じゃあ何番目がいいかな」と、探す。
「おー。広重」
田原さんの声にドキッとした。
その視線の先にいたのは、広重に間違いない。
間違いないけど。
村上くんと水谷さんと金子さんと並ぶように座っていた。
「隣、空いてるか?」と、田原さんが広重の隣に座ろうとするから着いて行くしかなかった。
広重の肩越しに「お疲れ様です」と高めの媚びたような声で笑いかける水谷さんが見える。
笑い返すなんて、できなくて、「お疲れ様」と素っ気なく言って、座るのがやっとだった。
謝ろうと思ったのに、やっぱり広重は無神経だ。
昨日の今日で、なにも変わってない。



