「遠山。見ろ、ハコフグ。可愛いぞ」
「ハコフグ?」
水槽を見ると、黄色に小さなドット柄のような模様のあるフグがとぼけた横顔で泳いでいた。
「遠山も、こんくらい愛嬌あったらいいのにな。ほら、真似してみろよ」と、なぜか頬を膨らませた。
「田原さん。似てないです」
「じゃあ、遠山がやってみせろよ?」
「わ、私ですか?」
物真似なんかしたことないというのに、じりじりと視線で攻め立てられてる。
「で、できませんから」
速足で逃げた。
「遠山らしいな」
振り返ると、田原さんは笑っていた。腕時計をチラ見すると、「ショーの時間だから、行くか」と、歩き出した。



