強引な彼との社内恋愛事情*2


できる。そのくらい。軽く彼の唇に口づけをした。


「したけど?」


そういうと、髪の毛をかきむしった。


「千花さん、俺のこと、子供だと思ったでしょ?」


悔しい、と広重は言った。


「思ってないよ。決めつけないで」


「だってさ」


こんなんじゃ、俺のほうが怒ってるみたいじゃん、って拗ねた。


「そうかもね」


「今日、不安になりました」


「不安?」


「谷さんとばかり話してるから」


「だって、隣だったから」


「その隣にもいたじゃないですか?」


「そうだけど。なんか、谷くん話しやすくて」


「それだけですか?」


「え?」


「谷さんのこと、気になってませんか?」


「まさか」と笑って返す。


脳裏にちょっと過ぎるのは付き合っている彼女の「真面目」なとこが好きと言った彼の言葉。


「なにか、今考えたでしょ?」


「考えてない」と、言うと、私の手首をギュッと捕まえた。


「谷さんのこと、好きにならないでくださいよ?」


「何言ってるの?そんなことあるわけ……」


「だから、嫌だったんだ」と広重は力なく言った。