強引な彼との社内恋愛事情*2


「だって……」と、言って続かなかった。


つらつら頭に浮かんでくるのは、すごくマイナスな言葉ばかりで、広重をきっと不快にさせてしまう。


私の中で、終わらせたかった。


だから、今だけ、顔を見たくない。


「なんで怒ってるの?」


「怒ってない」


「なら、なんでメール、シカトすんの?」


「気づかなかっただけ」


「そんな嘘、通用すると思う?」


はぁ、と吐かれた溜め息は、呆れたと言わんばかりで、余計に心が狭くなる。


それなのに、言葉はでてこない。


言いたくなくなるから、黙ってしまう。


どうせ、わかんないって思っているのかもしれない。


広重にはわからないって思っているのかもしれない。


自分のことなのに、あやふやだ。


それなのに、広重は、黙ってる私を良く感じていないんじゃないかってことは、わかるんだ。


人のことなのに。変なの。


「とりあえず、家あげて」と、強引に腕をとるから、黙って後ろを歩いて行った。