どうしているの?
さっきまで、カラオケにいたはずなのに。
目の前にいる広重に、驚きすぎて声にならなかった。
ずんずんと私に近寄る。
「どうしてだよ?」
「え?」
「なんで俺のこと、シカトするんだよ?」
「なんで私より早く来れたの?」
「好きだから」
「はっ?」
「千花さんのこと、好きだから。会いたくて飛んできた」
そう言うと、気が抜けて崩れ落ちそうになった私を勢いよく抱き締めた。
「あんな態度されたら気になって、飛んでくるに決まってるでしょ?」
「い……家の前。やめてよ。ていうか、答えになってない」
「千花さんだって、答えてくれてないでしょ?」
なんで?と耳元で囁いた。



