カラオケが終わった帰り際、珍しくポツンとはぐれた水谷さんに、「一緒に帰ろう」と持ちかけたのは、小さな嫌味なのかもしれない。
微笑みかける彼女は、後から来た私よりも、少し眠たそうで酔っているとしか思えなかった。
タクシーを停めると、「千花さん、もう帰るんですか?」と広重の声がした。
ここに来てから、話すのが初めてで、ドキッとした。
「うん。お疲れ」とだけ、言ってタクシーに乗り込もうとすると、かわりに、谷くんに呼び止められた。
「俺も水谷さんち方面なんですけど、一緒に帰ってもいいですか?」と。
断る理由もなかったから、結局、3人で帰った。
スマホには広重からのメールが何件か届いていた。
光るライトでわかったのに、読まなかった。



