強引な彼との社内恋愛事情*2












トイレからの帰り、水谷さんと廊下ですれ違った。


困った顔で、「トイレ、何処ですか?」と私に訊くものだから、ちょっと可笑しくて笑ってしまう。


「この先にあるよ」と、壁に堂々と描かれている矢印つきのトイレの案内表示を指差すと、「ああ。すみません」と慌てて謝る。


そういえば、と思った。


歓迎会と名目だから、うちの部の人しか来ていないのかと思っていたのに、総務の水谷さんだけがなんでいるのだろうと。


「金子さんとか、来なかったんだ?」


総務にいる私の同期の金子さんの名前を言った。


歓送迎会といった呑み会には必ず参加しているイメージがあったからだ。


「あ。来てないみたいですね」


「そう。じゃあ他の総務の子達は一次会で帰ったの?」


「いいえ。総務からは、私しか誘われてなかったみたいで」


「え?」


「って、さっき広重くんに言われました」


「ああ。広重に誘われたんだ」と言うと、「はい」と笑って、「ごめんなさい」とトイレに急ぐのか、小股で走って行った。