「遠山?」と、声をかけられたのは、支店のある駅前だった。


「あ。お疲れ様です」


田原さんだった。お客さん先に打ち合わせで外出していたらしい。私がここにいることに、驚いたみたいだった。


「なんでここにいんの?」


「えっと、彼氏の家、ここらへんなんです」


「はっ?彼氏の家?」


「はい」


「おん前、会わない間に、男つくっていたのかよ?なになに、どういう奴だよ?」


「どういう奴って。まあ、チャラそうな感じですかね。一見」


「チャラそう?お前、遊ばれてるんじゃねーのか?」


「遊ばれてないですよ」


「いや。絶対、遊ばれてるって」


「大丈夫ですよ」


「どうだか」