「ごめん。広重」
「え?」
「ごめんなさい」
そう言うと、ふうと溜め息を吐いて、「やっぱりわざとだったんだ」と、呟いた。
気づいていたのかな。
私が、妊娠してないってこと、隠していたこと。
「気づいてたの?」
「気づくもなにも、あんなに露骨にされたら、わかりますよ。なんなんですか?」
「だって……」
私が、本当のことを告げてしまったら、広重は簡単に別れを選べてしまうから、それが嫌だったんだ。
別れたくなんて、ないから。
「だって……広重のことが、好きだから。すごく好きだから、手放したくなかったんだもん」
だけど、2人でいるところを、私は今、目撃してしまったのだから。
別れを選ぶタイミングなのかもしれない。
同じタイミングで人を好きにならなければ、同じタイミングで恋が冷めることはないのだと思う。
だから、辛いけれど、まだ広重のことが好きな私から、彼にしてあげれることは別れを告げることしかないのかもしれない。
付き合うって、きっとそういうこと。



