強引な彼との社内恋愛事情*2


ぼそぼそとした話声が聞こえた。


道路の奥、暗闇の中に影が2つ見えた。


違う人か、と諦めたのだけれど、徐々に影が人の形を成していくにつれて、広重だってわかった。


だけど、隣にいるのは、女性だったから、私は声を呑み込んでしまった。


きょとんとして、私に気づいたのは、広重の隣にいる女性だった。


私より、たぶん年下っぽい。可愛い雰囲気の女の子。


その表情に反応して、「千花さん」と、広重が名前を呼んだ。


あ。


どうしよう。


身体が強張って、動けなくなる。


女性は、私たちの顔を見比べるようにすると、「すみません」と、先に頭を下げた。


「は?」


聞き返すより、広重の行動のほうが早かった。


彼女に向かって、なにか話しかけたりしたかと思うと、女性は私の横を通って、エントランスを抜けて行った。


すれ違い様に会釈をして。


「千花さん、どうしたの?」


広重の表情は、固かった。仏頂面で、冷たくそう言うから、今から言う言葉や気持ちは、きっと、広重には届かないんだろうって、予感させた。