強引な彼との社内恋愛事情*2


どのくらい待っただろう。現れる気配はなかった。


今日、残業だったのかもしれない。


それか、急な修正確認依頼とかで、会社に泊まりなのかもしれない。


そしたら、ここで、待っていても仕方ないかな。


エントランスの中にいても、ぐっと寒さが増した気がした。


帰ろう。そう思って、自動ドアを出た。


見上げた。広重の家の部屋には、なんの変化もなかった。


もう少し、待ちたいな。あと、5分。


まだ私の後ろ髪を引っ張るのは、やっぱり、今、言いたいという思いだけだった。


やっぱり、今、言いたい。


顔をあげる。ひんやりとした冷たさが肌に触れた。


小さな雪が、降ってきたことに気がついた。


街頭の灯りの下、ゆらゆらと踊っているみたい。