「……信じて裏切られたら傷つくとか思うから、悪いこと、最初から考えて守っちゃうことってあると思うけど」
「はい」と頷く。
「いいことを信じて傷つくことって悪くないと思う。今は、そうありたいかな」
言い切って、浮かんだのは、広重の顔だった。
私、どうして、不安に思っていたんだろう。
こんなに、私を支えてくれていたのにと、知っていたのに。
言葉や、温もりとか、存在とか。
忘れたくないこと、いっぱい貰っているのに。簡単に忘れてしまうなんて。
「だからね。もしかして、谷くんが好きだって言ったことも本当かもしれないじゃない?水谷さんが、否定していただけで」
「そう、ですかね。明らかに興味なかったですよ」
「そこしか見えなかったんじゃないのかな?」
なんてね、と、また少し恥ずかしくなる。
「水谷さん、よくかっこいいとか言ってくれてたけど、全然かっこよくないでしょ?」
そう言うと、また肩の力が抜けた。こうして、もがいているのが、本当の私だからかもしれない。
全然、かっこよくない。かっこよくなくていい。
だけど私は、信じたい。こんな自分を。



