「そうやって、奥さんが妊娠中に浮気する男性が増えていくんでしょうかね」と、ありきたりな冗談のつもりで笑うと、ジッと黙って私を見ていた。
「田原さん?」
「そうなんのかなー」と、微笑した。
「やだ。冗談ですよ。気にしないでください」
帰るタイミングがつかめない。いつ改札の中に行っていいのか。
「じゃあ、遠山。呑みなおすか」
「え?」
「なんか、寂しいんだよな」
「寂しいって。奥さんだって、そう思ってますよ」
「いや。飯作んなくて楽としか思ってないよ。あいつは」
どちらかといえば、もう一軒ではなく、ベッドでもう一眠りといったみたいに、眠たそうだった。



