見送ってから、周りが解散したあと、田原さんと私はまだ改札の前にいた。
というのも、お互いの最終電車の時刻が今の時刻からみると、まだ遠く。
だけど、お互いの電車は5分差で到着するからだ。
まだ来ないと言い合っているうちに帰るタイミングを掴めなくなってしまった。
ぽつり「嫁が、実家に帰ってる」と、田原さんが隣で呟いた。
「え?逃げられたんですか?」
「馬鹿。んなわけない。実家の近くの病院で産むみたいみたいでさー。今、帰ってるんだよ。まあ、行ったり来たりしてるんだけどさ」
「寂しいですね」
「お陰で飯がない」
「まるで独身ですね」
「遠山、作りにこいよ」
「お断りします」
可愛くない、と言うと。
「まあ。ずっと一緒住んでたから、たまにはいいかなとか思ったりもするんだけどな。嫁がいないのも」と、言った。



