帰りは、星野さんと田原さんと私が並んで駅まで向かっていた。
星野さんは、すごく上機嫌だ。
思いかえせば、お酒には手をつけていないのに、テンションはお酒を呑んだ人と同じくらいだから、すごいと思う。
「星野さん。お酒、呑めないんですか?」と、訊くと、「実はね。できちゃって」と、お腹をさすった。
「え?」と、反応したのは、田原さんだ。
「田原さんのところと同級生だよ」と、笑う。
「それにしても」と、田原さんは言った。なにが起きるかわかんねーなと。
あんなに気持ち悪いとか言ってたのに、と。皮肉めいた直球ストレートな疑問。
「ああ。言ってたね」と、頷く。
「私も、まさか、好きになると思わなかったけどさ」
「ぶっちゃけ、どこがいいんだよ?」と、田原さんは訊く。
「うーん。優しいところかな」と、さらりと言った。
「優しい、ねえ」
「私には優しいし。うん。部下には嫌われてるのわかるんだけどさ。私にとっては、やっぱり、いちばんいい人なんだよね。人にどうこう言われても。結婚したいと思えたのも、彼くらいだし」



