家に帰ると、広重から電話があった。
「お疲れ」
「お疲れ」
「今、家に着きましたか?」
「うん。帰ってきたとこ。どうしたの?」
「気になって。今から、会いに行ってもいい?」
「ごめん。今日はちょっと疲れてるから」
「そう。どうだった?初日」
「思ったよりは、いいかな」
「へー」
「そっちは?」
「こっちは相変わらずですよ」
「そっか」
「そういえば、千花さん。行ったの?」
「え」
「病院」
「行ってない」
「え?なんで?」
だって、妊娠してないから。
その一言を伝えるのが恐かった。
だって、そうしたら、きっと広重は、私を遠ざけてしまうから。



