「あ。元気です」
「久しぶりに会いたいな。あの人、面白いよね」
「面白い、ですかね」
そういえば、私と、遠山さんの歓送迎会があるから、呼んじゃおうか、と星野さんは言った。
「え」
「田原さん」
「来ますかね」
「もう一生、会えなくなるって言ったら、来るかもしれない」と、笑う。
こんなに無邪気な感じの人だっけと、違和感を覚えたけど、以前に数ヶ月くらいしか関わりのなかった私に、彼女のなにがわかるのだろう。
スマホを手にした左手の薬指には、指輪があった。
そこで、いいな、と思った。
今じゃ、もう、夢のまた夢って感じだからかもしれない。
私は、広重を諦めていることに気が付いた。
泣きたい気持ちになったけど、頼んだ定食はおいしかった。
広重がいなくても、たぶん、私、変わんないんだろうと思った。
味覚が衰えることもないだろうし、少し落ち込んでいつの間にか立ち直って出社してるのが想像できる。
それが余計、哀しかった。



