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2月の頭、本社に異動になった。
星野さんは、前見たときの印象となにひとつ変わりがなかった。
サバサバして、貫禄があるけど、女性らしい外見。
綺麗な人だと思うのに、なんでまたあんなヅラ課長とできてしまうんだろう。
なんて、よけいなことを考えたりして。
昼休みになる。スマホを見ると、広重も昼休みだからか、[どうですか?]と、メールをくれていた。
距離をおきたいのなら、こんな中途半端に気にかけてくれなくてもいいのに。
嬉しいのに、複雑な気持ちでいっぱいだった。
「遠山さん」と、後ろから声をかけられた。
星野さんだった。
「ランチ、一緒行かない?ここの辺、わかんないでしょ?」
どうしよう、と思ったけど、少しくらいは社交的にと、頷いて返事をした。
「お昼、なに食べることが多い?」と、訊かれると、「定食屋があったから、よくそこで食べてましたけど」
じゃあ、あそこでいっか、と、指さした先には、チェーン店の定食屋さんがあった。ふたりでランチを頼む。
唐突に「田原さん、元気?」と、星野さんは言った。共通の話題がそこにしかないからかもしれない。



