強引な彼との社内恋愛事情*2










腕時計を見た。時間は22時。


谷くんの番号を訊いておいて良かった、と思ったのは、二次会のカラオケに移動したと電話越しで言われたからだ。


ドキドキしてた。やっぱり苦手だ。こういうの。


ドアを開けた瞬間に、また嫌な顔をされるのかもしれないって想像するからだ。


仕方ない。


谷くんに教えて貰ったカラオケルームの部屋の番号を見つけると、肩に力が入った。


気分は戦場。なんて言ったら、なんて小さい戦争だろうか。


ひとりでにドアが開いたかと思うと、谷くんが中から顔を出した。


「あ。タイミングがいい」


「えっ?」


「遅いと思って、探しに行こうかと思ってたとこなんですよー」と、振り返りカラオケルームに顔を向けると、大きな声で「遠山さんが来た!」と大きな声で言った。


誰にも気づかれずに入りたかったのに。


足が動かないでいると、「歌わないと損です」と、手から鞄を奪われ、背中を押されてしまった。