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歓迎会は、もう始まっている時間だった。
フロアには数名残っていたけど、その中に広重の姿はなかった。
うまく切り上げて、もう歓迎会に向かっているみたいだった。
気になるな、と思っていると、目の前には谷くんがいた。
鞄を手にしているから、今から向かうのだろう。
「遠山さん、まだ行かないんですか?」
「あ。うん。もう少ししたら行くわ」
「場所わかります?」と、駅前にあるというお店の名前を口にした。
広重にも教えてもらっていたけど、詳しい場所まで訊くのを忘れていた。
「わからなかったら、電話でもしてください」とスマホを見せた。
「えっ?」
「番号。遠山さんのわからないんで。教えてもらっていいですか?」
「あ。そうだね。ごめん、ごめん」
社内で番号交換をすることって、あまりないからか、スマホを差し出されたのに、ピンとこなかった自分が恥ずかしくなった。
おまけに機械に弱いわけじゃないのに、番号を教えるなんてあまり使わない機能なせいか、何度も操作をやり直して悪戦苦闘してしまう。
全然、最近の人らしくない。
パソコンのほうがまだ仲良くやれそうだ。



