強引な彼との社内恋愛事情*2




歓迎会は、もう始まっている時間だった。


フロアには数名残っていたけど、その中に広重の姿はなかった。


うまく切り上げて、もう歓迎会に向かっているみたいだった。


気になるな、と思っていると、目の前には谷くんがいた。


鞄を手にしているから、今から向かうのだろう。


「遠山さん、まだ行かないんですか?」


「あ。うん。もう少ししたら行くわ」


「場所わかります?」と、駅前にあるというお店の名前を口にした。


広重にも教えてもらっていたけど、詳しい場所まで訊くのを忘れていた。


「わからなかったら、電話でもしてください」とスマホを見せた。


「えっ?」


「番号。遠山さんのわからないんで。教えてもらっていいですか?」


「あ。そうだね。ごめん、ごめん」


社内で番号交換をすることって、あまりないからか、スマホを差し出されたのに、ピンとこなかった自分が恥ずかしくなった。


おまけに機械に弱いわけじゃないのに、番号を教えるなんてあまり使わない機能なせいか、何度も操作をやり直して悪戦苦闘してしまう。


全然、最近の人らしくない。
パソコンのほうがまだ仲良くやれそうだ。