チラっと横目で見ると、ばつ悪そうな顔をして口を閉ざした。 「なにか、あったの?」 「いや。別に」 「忘れ物のほかに何か思いだしたことでもあるの?」 「いえいえ。大丈夫です」 言う気はないらしいくせに、しまった、とか言わないでほしい。 なんとなく、気になってしまうから。 「いや。遠山さんとエレベーターで2人きりになるから、緊張するなと思って」 「え?」 「それだけです」 「なにそれ」 意味わかんない、と心で呟く。 「だって」と、谷くんは言った。