会社に電話しないと。


いや、まず顔を洗わないと。


違う、会社が先か。ていうか、スマホどこに置いたっけ?


ベッドの中を手探り状態で探していると、広重が噴き出した。


「広重も遅刻だよ。ほら、準備しないと」


となにもしない広重を急かすと、


「千花さん。今日、日曜日だよ」と笑った。


「えっ?」


「昨日、休日出勤したからって曜日の感覚ずれてるでしょ?」


「……だっけ?」


時計の脇にあったスマホを見つけたら、日付にはちゃんと日と表示されている。
自分でも呆れてしまう。


広重は、「千花さん、可愛い」と言うと、私を引き寄せて両腕で包んだ。