「けっこー呑んできたの?」と、座るなり、彼は言った。
「サワー、三杯くらいかな」
「今日、なに話してきたの?」
「え?」
思い浮かぶのは、星野さんのこと。私のところでまだ止めておけと言われていた。
だから、異動のことも言うに言えない。それに決まったことじゃないし。
「俺、変なこと訊いた?」
「ううん。奥さんのこととか、話してたかな?ノロケに付き合わされた感じ?」
「ノロケねぇ」
「ね」
「なにも思わなかった?」
「ん?」
「ノロケ、訊いて。なにも」
「なにも思わないけど」
笑って言うと、ちょっと笑ってくれた。
「千花さん」
「うん?」
「嘘は、吐かないで下さいね」



