だけど、家の前にたたずむ人がいて、足を止めた。 恐いと思ったけど、近づくにつれて、浮き彫りになる輪郭。「千花さん」の声に安堵した。 「広重?」 「おっそい」 「待ってたの?」 「うん。あと10分してこなかったら、帰るつもりでした。メールしたでしょ?」 「嘘。きてないよ?」 「あれ?」と、見合ってしまう。 「寒いから、入ろう」と、彼の手を取った。いつもより冷たい気がした。