改札まで、一緒に入るものだから、引き返すタイミングを失った。
「お疲れ様です」と、なぜか、事務的に挨拶をして、足早にホームに向かう。
田原さんの電車は、私のホームの向こう側だ。
お互いの目に映らないように、端っこまで歩いた。
会わなきゃ、と思ったけど、こんな時間に会いに行くのも、迷惑だろうな。
少し、酔ってるからかもしれない。
そんなこと考えてしまうのは。
会わなきゃ、か。
会いたい、でしょ。普通は。
冷静な自分が酔っていてもどこかにいて。
感情や言葉ひとつに戸惑いをみせる。
呑みすぎた。そうだ。それだけだ。
そう言いきかせて、近づいてきた電車に、乗り込んだ。
広重は、今日、なにしてるんだろう。
メールもきてない。
珍しい。この時間、一言くらいは、くれるのに。
田原さんとご飯に行くこと、知ってるのにな。
もう寝たのかな。
同時に、ギュッと寂しくなって、ちょっと安心した。
家に着いたら、電話しようとスマホをギュッとした。



