強引な彼との社内恋愛事情*2


改札まで、一緒に入るものだから、引き返すタイミングを失った。


「お疲れ様です」と、なぜか、事務的に挨拶をして、足早にホームに向かう。


田原さんの電車は、私のホームの向こう側だ。


お互いの目に映らないように、端っこまで歩いた。


会わなきゃ、と思ったけど、こんな時間に会いに行くのも、迷惑だろうな。


少し、酔ってるからかもしれない。


そんなこと考えてしまうのは。


会わなきゃ、か。


会いたい、でしょ。普通は。


冷静な自分が酔っていてもどこかにいて。


感情や言葉ひとつに戸惑いをみせる。


呑みすぎた。そうだ。それだけだ。


そう言いきかせて、近づいてきた電車に、乗り込んだ。


広重は、今日、なにしてるんだろう。


メールもきてない。


珍しい。この時間、一言くらいは、くれるのに。


田原さんとご飯に行くこと、知ってるのにな。


もう寝たのかな。


同時に、ギュッと寂しくなって、ちょっと安心した。


家に着いたら、電話しようとスマホをギュッとした。