「はい?」
「前、うちの事業部いた星野憶えてる?」
「ああ。星野さん?えっと、今、本社勤務でしたっけ?」
確か、私よりみっつくらい上だった気がする。
気が強くて、きれものといったタイプの女性だったな。
「そうそう。実は、結婚するらしくてさ。おまけに寿退社」
「寿退社?」
「意外だろ?」
「ですね。なんか家庭におさまるイメージありませんもんね」
「で。実はさ、あの課長と実はできてたみたいで。ヅラ課長」
「えっ?ヅラ課長と?」
ヅラ課長というのはもちろんあだ名だ。本人の前では言えないけど、いかにもカツラでしょと言いたくなる不自然なヘアスタイル。
「そうそう。驚いたんだけどさ」
「お……驚きましたね」
「星野、課長気持ち悪いとか、あんなに言ってたのにさ」
「はあ」
「で、だ。たぶんなんだけど。遠山、そっちに異動になるんじゃないかって」
「えっ?」
「そんなことをさらりと訊いた。星野の後任ってことだな」
「い……異動ですか?」



