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季節は6月になった。
準備段階だった新規プロジェクトも始まり、また慌ただしい日々が訪れる。
今回は去年の秋に出した端末がバージョンアップされた機種。
カメラ機能を売りにしたいらしく、大きな不具合が多発することが既に想定されている。
だから、他の会社からも数人派遣して貰ったりと、わずかばかりにフロアの人数は多くなった。
「千花さん、もう少し呑む?」とメニューを広げたのは会社の近くにある梶間食堂だった。
灯台下暗しといったところだろうか、昼間のランチは、同僚に会うこともあるけど、夜の居酒屋タイムでは誰にも会ったことがなかった。
それに、こんな色気のないところで呑んでいても、デートだとは誰も思わないだろう。
「呑む」
明日は休みだから、今日は呑む気満々だった。広重と呑むお酒はなんだか楽しいから。
ふと思う。彼は恋人だけど、たまに友達みたいだと。
「ピーチウーロンでいい?」と広重は言った。私が次に頼むものがわかったのだと思う。



