「彼女、忙しいのね」
「まあ。同業だから、忙しいのもわからなくもない」
「もしかして、同じ会社?」
「会社は違います。前のお客さんなんですけどね」
「へえ」
「ていうか、会社、近いんですよ。ここから」
「そうなんだ」
「一緒、住んでても、会社近くても、なんですれ違うんすかね」と、少し切なげに呟いた。
「うまくいってないの?」と、訊いてみたけど、ぶしつけではなかっただろうか。
だけど、谷くんは躊躇うことなく「うまくいってないです」と、はっきり言った。
「え」と、言葉に困ると、「だから、俺の心の癒やしは、この前貰ったパグの写メ」と、スマホの待ち受けを見せてくれた。
あ。私も、待ち受け一緒だ。
「でも、さっき可愛い姪っ子の写メが送られてきたから、変えようか、すっげー迷ってます」
「姪っ子?」と、言うと、見せてくれた。
ピースをして、微笑む。指が真っ直ぐできないのかお辞儀をしてるみたい。可愛い。2、3歳くらいだろうか。



