暑すぎるベッドの温度で目がさめた。


隣を見ると、ぐっすり目を閉じて眠る広重。


軽く頬に触れてみるけど、嫌がる素振りも見せない。


スマホに手を伸ばすと6時を過ぎてる。


結局、休みといってもこんな時間に起きちゃうんだ。


喉が渇いたから、キッチンに行こうと、片腕をついたときだった。


「きゃっ」


驚いた声をあげてしまったのは。


広重の腕は、私の腰を動けないように捕まえる。


それどころか、そのまま腕の中に押さえ込まれてしまった。


「びっ……くりさせないでよ」


寝たふりをしてた、なんてやられた。


「はい」


「じゃあ、離して」


「はい」と、返事だけはいいのに、腕の力はますます強くなるばかり。


おまけに、んーっと、力んでるような声をあげはじめるから、なんだか可愛くて笑えてくる。


そこで、ようやく「千花さん。なに笑ってるんですか?」と、腕の力を弱めた。