「ああ。うん。面白いね」


「どこが?」


「うん?冗談言う感じが?」


「……千花さん」


いよいよ溜め息を吐かれた。


「訊いてもいいですか?」


「うん」


「結婚しても仕事は続けたいとか思ってますか?」


ドキッとした。付き合ってすぐに、結婚なんて言葉は結びつかないから。


まだまだ先にあるものだと思っているし。


広重は、私より若いのだから、余計にそう思っているのだと決めつけていた。


「うん。今のところは、それが理想かな」


「そうですか。……例えばですよ?俺と千花さんが結婚するとかなったら、会社どうするの?続けたいなら、みんなに言わなきゃいけないし」


「そ……そのときは、ちゃんと報告するよ」


「本当に?」


「本当」


「約束できる?」


「できるよ」


「ごめん。なんかまた変なこと言ったかも」


「……ううん」


「あ。話は戻るけど、花火大会は安心してください」


穴場スポットがあるので、そこで見ましょうと言ってくれた。


どこ?って訊いたら、当日のお楽しみですよと、ようやくいつもの広重に戻ったみたいに明るく笑った。