近くのコンビニ。電気料金の支払いをしようと、目をやると、ガラス張りの向こうに、立ち読みをする谷くんがいた。


その瞬間、ぱっと目が合って、驚きもしないで笑うものだから、つられて笑ってしまった。


自動ドアから中に入ると、「遠山さーん」と、私を呼んだ。


どうしようか、と思ったけど、近寄った。「お疲れ様」と一言だけでも言って立ち去ろうと思ったから。


だけど、彼の手にしていた本が、少女漫画の月刊誌だったから、凝視してしまった。


「なに読んでるの?」


「え。少女漫画ですよ」


「意外。そんな趣味あったんだ」


「面白いのかなぁと思って」と、パラパラめくってパタンと閉じた。


「遠山さん、アイスは好きですか?」と訊くから、「好きだけど」と、言ったら、コンビニの前でハーゲンダッチュを抱えた谷くんがいた。


「はい。どっちがいいですか?」とバニラとグリーンティを渡すけど。


「谷くん、溶けちゃうよ?」


「じゃあ、今、食べて行きましょうよ」


そのまましゃがむ。まるでスーツを着た高校生みたいだ。